映像作家・村岡由梨のブログ http://www.yuri-paradox.ecweb.jp/

両眼を閉じて

 明日はお弁当の日だっていうのに、新作の構想を練っていると興奮して眠れない!

 新作は三章から成っていて、第一章「The odd numbers」では、自らの内に潜む暴力性について、第二章「透明な私」では、自分の実在に対する不安について、第三章では私にとっての「イデア」について、それぞれ表現するつもりです。音楽は、アルカンの「The Song of the Mad Woman on the Sea Shore」という曲と、前々から使いたかった「白鳥の湖」を私なりにアレンジしたものと、ワーグナーの「ジークフリート牧歌」を使う予定。

 こういう風に、自分の中のイメージがだんだん形になっていく課程って、本当にエキサイティングです。仕事やプライベートで辛いことがあっても、こうして表現の自由を手にしている喜びがあれば乗り越えられる…かな(苦笑)?

 今、本当に、色々辛いのです。

 でも、両耳にイヤホンをさして、眼を閉じて、流れてくる音楽に身を委ねれば、そこには無限の自由が、私だけの自由が広がっているのです。果てしなく自由で美しい、私だけの世界。腐り落ちてしまったと思っていた私の両腕は、大きな翼に姿を変え、その世界を力強く羽ばたこうとします。けれども、ふと目を開けると、二人の娘の、残酷なまでに無垢な寝顔があって、「人を愛するということは、何て単純で複雑なことだろう」と思い、自分の足元に転がっている腐り落ちた二本の腕を、少し足で蹴ってみたりするのです。「いつまでも夜が続くように」と願って、釘を打ち付けた両眼から、赤い血の涙を流しながら。