映像作家・村岡由梨のブログ http://www.yuri-paradox.ecweb.jp/

Declare Independence

随分長い間、国際政治に関心を持って来たけれど、自分の政治観や宗教観を作品に反映させたり、何らかの形で公にすることは、何だかとても怖いことに思えて、意識的に避けてきたように思います。

 

私という人間は、この広い世界の「日本」という小さな島国に住む、一介の、無名の表現者に過ぎません。

 

今の私が、自分の作品に政治的・宗教的なメッセージを込めたとしても、「世界」に何か影響を与えるわけでもないだろうし、それ以前に「世界」から何かを求められている立場でもない。「一介の」とか「無名の」って、そういうことなのだと思います。捻れた言い方をしてしまえば、名の知れた芸術家が、「社会性のある作品」を世の中に向けて発信するのと訳が違うのです。

 

そんな私が、新作「Transparent,the world is.〜透明な世界〜」では、自身の政治観・宗教観に大きく踏み込んでいます。

一人の表現者として美しく脱皮するために、今一度、社会における自分の立ち位置、もっと言えば、社会における自分の役割のようなものに向き合おうという気持ちになったのです。

 

これは、私にとって最初で最後の大きな賭けです。世間一般がイメージする「芸術作品の社会性・公共性」に対する挑戦でもあります。

 

「芸術家は芸術のことだけ考えていれば良い」

今までもこれからも、これが私の原点ですが、挑戦するのは私の自由。「一介の」「無名の」私が手にしている「自由」という名の特権なのだと思います。