映像作家・村岡由梨のブログ http://www.yuri-paradox.ecweb.jp/

ねこのようちえん

夢を見た。

 

まだ自分の家に庭があって、

お隣に絵描きの老夫婦が住んでいた頃。

ある日お隣から賑やかな音楽が聴こえたので、

私は庭に出て、塀の向こうを覗いてみた。

小さいお庭には、とても小さい色とりどりの回転木馬があって、かわいいぬいぐるみや、ねこや動物の子供たちが楽しそうに遊んでいた。私のそばにいたねこのしじみが、塀の向こうを見てみたい、と言うので抱っこして見せたら、しじみが仲間に入りたがったので、

明日から、この「ねこのようちえん」に通うことになりました。

 

という夢だった。

 

しじみを昨年末に家の近くで保護した時、とにかくボロボロで、歯が片方折れていて、しっぽも変な角度に曲がっていて、大きめの病院に連れていくと、心臓に腫瘍があることがわかり、それによる大量の胸水で体が圧迫されていることもわかりました。

今も心臓の腫瘍は大きくなっていて、少なくとも月に一度は病院で胸水をとらないと、食事もままならなくなります。

お医者さんからは、いつ死んでもおかしくない、と初めから言われていて、その後何ヵ月もそう言われ続けて、今に至ります。

大きな腫瘍は、しじみの小さな心臓にしっかりとへばりついていて、摘出するのは不可能なのだとか。

今日明日にも、しじみの小さな心臓は止まってしまうかもしれない。夜は私のベッドで寝るしじみ。時々目を覚まして、しじみが寝息を立てているのを確認して、安心して、また眠りにつく。

 

しじみの死を、私は乗り越えられるんだろうか。しじみの体が竈で焼かれる時間を私は堪えられるだろうか。

「時間が経てば悲しみは薄れ、流れていく。」

嫌だ。そんな言葉聞きたくない。

大切な存在を失いたくない。

時間を止めて。

この瞬間を永遠にする魔法を教えてほしい。

 

カニバ」を観て

私が他人の作品を観て、被写体や作り手にイライラしたりしてしまうのは、それらのものに私自身の欠点を見出だしてしまうから、ということがわかった。それは合わせ鏡のようなもの。ラストのメイド服の女が出てきた時点で、私が必死に蓋をしていた「憎悪」が爆発。女・食・性・女・食・性ぎぎぎぎぎぎやああああひひひひひ「その女をズタズタに切り裂いて殺せ!!!!!」と叫びそうになったので、エンドロールを観ずに会場を後にした。

 

さて、今日はどんな夢を見るのかな。

透明人間

こんなに周りに人がいるのに、誰も私に気が付かない。みんな、私の知らない言語で話してる。

あなたのことがわからない。

にんげんやめたい。ガラス玉みたいな眼をした、ねこになりたい。

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 永遠に続くと思っていた関係にも、いつか終わりの時がやってくる。大切な人を胸に抱いている時。温かい生きものの息遣いを感じながら眠りにつく時。私たちがこんな風になるなんて、思いもよらなかった。変化なんて、これっぽっちも望まない。「この瞬間が永遠に続けば良いのに。」

 この世界には決して叶うことが無い願いがあるということを、私たちは知った。

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懺悔

その言葉を言ったら、人はどう思うか。喜ぶのか、悲しむのか、傷付くのか。それをよく考えた上で、人と話しなさい。

娘にそう説いたけれども、私自身偉そうに言える立場なんだろうか。

「自分の存在を消してしまいたい。いっそ死んでしまいたい。自分には生きている価値なんかない。」それらの言葉で、親や娘たちやパートナーをザクザクと傷付けた私。

傷付けた私。傷付く私。傷付く娘。傷付ける娘。

「自分以外誰もいない世界、物も何もない世界に行きたい」そう言って、ただひたすらに自転車を漕ぐ娘の姿を想像して、私はただ泣くしかなかった。「何もない世界」にひたむきに憧れ、自転車を走らせる娘の悲愴な気持ちが痛いほどわかるから。

 

「自分が死んでも、誰も悲しまない」

どうか、そんな言葉もう言わないで。

そして、お母さん、そんな言葉を何度も言ってごめんなさい。

 

魔法を取り戻す

my new film would be private, sensitive and sentimental one.

 

「夕暮れ時、アトリエ近くの歩道橋からの景色を眺めたりしてると、悲しいような、でも懐かしいような気持ちで胸がいっぱいになるんだよ。」

2017年6月23日、眠の言葉。2018年7月2日現在、この歩道橋はもう存在しない。

 

「例えば実際に触れることのできる何かを自分の腕に抱きしめているとして、そのものに『懐かしい』という感覚を感じたら、そのものは最も間近く触れているにも関わらず、決して手の届かないとても遠いところにあるような感じを与える気がします。決して触れることが出来ないイデアの世界に。」

私の友人の彩鳥さんのブログ「彩鳥のさえずり 絡繰日記」の「懐かしい投影たち」より抜粋

 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%A2