映像作家・村岡由梨のブログ http://www.yuri-paradox.ecweb.jp/

静謐な青

 昨日今日と、立て続けに、二人も大切な人が亡くなってしまいました。

 昨日亡くなった方は、私自身大変お世話になった方で、私がこの仕事を始めたばかりの頃からずっと、私をかわいがり、育てて下さった方でした。昨日の昼、私が部屋に入る2、3分前に息を引き取ったそうで、まだ温かいその体を、タオルできれいに拭き、おむつを取って最後の便と分泌物をきれいに拭き取り、新しいおむつをあて、お気に入りの洋服を着せ、髪をブラシで整えて、きれいにお化粧を施しました。

 一方、今日の昼に亡くなった方は、私の母にとって、仕事を超えて親友以上の存在だった方でした。そして、昨日亡くなった方と同様、うちの会社とスタッフも、大変お世話になった方でした。スタッフのAさんから連絡を受け、数分後、母と私が急いで駆けつけた時はもう既にこと切れていて、母とAさんと私は、号泣しました。気丈な母が、亡くなった女性の余りにも細い体を抱きしめて「ごめんなさい、ごめんなさい」と激しく泣いていました。私もAさんも、悲しみとやりきれなさで、心がぐちゃぐちゃでした。でも、今はまだ温かい体が、死後硬直であっという間に固くなってしまうので、母・Aさん・私の3人はお互いの心に鞭打って、大きく開いた口をめいっぱいの力を入れて閉じさせ、母が最後の便をきれいにして脱脂綿で肛門を塞ぎ、3人で協力して着替えをさせ、3人できれいにお化粧をして差し上げました。

 昨日亡くなった方と今日亡くなった方は、何もかもが対照的だったのですが、お化粧を施したそのお顔は、お二人ともとても美しいものでした。その場に居合わせた誰よりも美しい顔だったと思います。その静謐な美しさを見て、私は、「ああ、生きている私達とは、違う次元の存在になってしまったのだな」と思いました。

 いっぱい泣いて、とても、とても、疲れました。

 何だか頭がぼんやりとして、亡くなったお二人の静謐な表情と、この二日間、昼間の空がとても美しかったことだけが、印象に残っているという感じです。 その静謐な青色に、ある瞬間息が詰まりそうになって、生きていることが、とてつもなく辛くなる。 そんな感じです。