映像作家・村岡由梨のブログ http://www.yuri-paradox.ecweb.jp/

2017年11月12日現在の私、のステートメント

「私は無益で精巧な一個の逆説である。」(三島由紀夫

 

 小学生の頃、ふとした思いつきで「逆説(パラドックス)」について作文を書いたのが、私とこの言葉との出会いでした。それ以来、私にとって「パラドックス」は、自らを表象するキーワードとして、なくてはならない存在となりました。その後、成長するにつれ、私は私自身の核「私=パラドックス」を自覚/体験するようになり、今にも私を真っ二つに引き裂きそうなアンビバレンスに激しく苦しめられ、その苦痛はいつしか「これを具現化したい」という欲望に変わりました。そして、2002年に本格的な創作活動を開始してから、一貫して「セルフポートレート」にこだわった自作自演の映像作品・写真作品などを制作し、今日に至ります。
 私にとって、「つくる」ということは「私自身を生きる」ということ。それは、結婚して出産して二人の娘の母となった今でも変わりません。むしろ、「私らしくありたい、表現者としての自分を生き抜きたい」という願いは、より強く切実なものとなりました。私が死んでしまっても、私がこの世界に生きた軌跡である作品を通じて、娘たちに「自分らしく生きてほしい」というメッセージを届けることが出来たなら。 私は、その先に「何か普遍的な答えのようなもの」を見つけることができるのではないか、という気がしてならないのです。