映像作家・村岡由梨のブログ http://www.yuri-paradox.ecweb.jp/

dilemma

 数十年に渡って蓄積された埃と書類に埋もれるような形で、

 異様な人々が、一種独特の臭気を放ちながら仕事をしている。

 決して人数は多くなく、

 まるで作り物のように生気の無い肌と、

 時折小声まじりにむき出される歯 歯 歯が、

 私の心に暗く焼き付けられた。

 そして、

 「窓口」とは名ばかりの、

 いいかげんに置かれた長机の前に座る私。

 そんな私の前に、

 異形の女性が対応に現れたのだった。

 私の横では、別の母親が、

 悲愴な面持ちと悲愴な声で、

 我が子の現状を嘆いているところだった。

 私は、

 精神通院の為の医療費助成の申請の為に、

 そこにいたのだった。

 帰宅して暫くして、

 何とも無愛想な郵便配達員が、

 村岡由梨様宛の「ゆうパック」を

 私に渡して帰って行った。

 中には村岡由梨のフィルムが、

 それはもう無愛想に

 あっけない形で入っていたのだった。

 作品を作るべきとか、

 作らざるを得ないとか、

 作りたいとか。

 そんな言葉ばかりが、

 余りにも簡単に口をついて出て来る。

 歯 歯 歯

 「no more 切羽」という言葉が

 急にアタマに浮かんで、大笑いした