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映像作家・村岡由梨のブログ http://www.yuri-paradox.ecweb.jp/

「古楽とストラヴィンスキー」を観た!

 昨日、初台の新国立劇場で、知人の息子さんが出演する「古楽ストラヴィンスキー」というコンテンポラリーダンスを観て来ました。

http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000083_dance.html

 平山素子さんという人は、すごいです。筋肉もすごかったけど、体中からほとばしる意思の強さが、ハンパじゃなかったです。私はこういう表現者が好きです。とても良い経験でした。

http://www.motokohirayama.com/

 息子さんに次のような手紙を書きました。

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 昨日は、とても素晴らしいダンスを観せて頂き、どうもありがとうございました。

 すり鉢型の劇場で、舞台と客席が地続きとなっており、私も含めて多くの観客は、出演者と非常に近い距離から、その滴り落ちる汗の一粒一粒や、微妙な表情の変化などを観ることが出来たのですが、その「距離の近さ」がマイナスに働けば、ダンサーの体の動きばかりが目についてしまい、「頑張って踊っているなあ」というようなどうしようもない感想しか出てこないと思うですが、ダンサーの体が「動き」を超えた「何か」を表現した瞬間、その「距離の近さ」は間違いなくものすごい力でプラス方向にベクトルが向いていて、「春の祭典」を観ている時、この瞬間が何度かあって、私は、身の毛のよだつような感動を覚えました。

 また、照明の使い方にもとても感じる部分がありました。私が感銘を受けたのは、照明の「手法」そのものというより、その「タイミング」でした。今回の企画の趣旨が「音楽と出会う」ということでしたが、その「音楽」と「照明」のタイミングの合わせ方が、素晴らしかったと思います。「タイミング」というのはとても重要なもので、少しでもはずしてしまうと一気に興がそがれてしまうし、逆にカチッと合えば、観客の心に効果的なショックを与えることが出来ます。「春の祭典」では、このショックな場面が何度かありましたので、心臓の弱い人は要注意だなあと思いました(笑)。

 もちろん、照明の手法そのものも、申し分ありませんでした。私は、ダンサーの体が最も魅力的に見える時は、ダンサーの体の「全体」ではなく「一部」に照明があたって、体に影が出来ている時だと感じました。「影」というのは、観客が表現物を観るにあたっての「余地」であるともいえ、この「余地」は、ダンスに限らず、あらゆる表現において必要不可欠なものであると実感しました。

 そして、音楽も素晴らしかったです。舞台上に設置された2台のピアノから繰り広げられる不協和音の洪水は、ダンスそのものでした。白い衣装でのダンスの後、お二人が黒い衣装に着替えてから、唯一の小道具「椅子」が舞台に登場にしましたが、この椅子はピアノ用の椅子ですよね?(違っていたらごめんなさい!) クライマックスで、たたみかけるように2人のダンサーが踊って、2台のピアノが狂ったように連弾して、「ピアノ」「白い衣装」「黒い衣装」「ピアノの白鍵・黒鍵」が私の頭の中でぐるぐる回って、もう何が何だか、ダンサーとピアニスト、どっちがどっちかわからなくなりました(笑)。4人全員が音になってダンスになって、もう滅茶苦茶で、感動しました。

 ピアノ演奏のお二人も、とても素晴らしかったです。終了後、鳴り止まないカーテンコールに応えて、このお二人が何度も舞台に引っぱり出されて、両氏が恥ずかしがって、へっぴり腰になっていたのもとても微笑ましかったです(笑)。

 最後に蛇足ですが、私が上演中、もう一つずっと気にしていたことは、平山素子さんと雅寛さん、お二人の髪型でした。お二人とも、きっちりとおだんごを結わえた髪型でしたが、私は、パンフレットの写真が割と気に入っていたので、「いつ、髪をほどくんだろう」とワクワクしていたのです(笑)。ラストにいくに従って、「今、もし二人が髪をほどいたら、私は完全にノックダウンされて腰が抜けて立てなくなるぞ!」と一人で盛り上がっていましたが、結局、髪はほどかれず、きっちりとしたおだんごのまま。幸か不幸か、私は「春の祭典」にノックダウンされずに済み、腰が抜けて同行の姉に迷惑を掛けることもなく、良かったです(?)。 今、冷静に考えると、「頭はきっちりとしたおだんご・体の動きはハチャメチャ」というのは、ストラヴィンスキーっぽいといったらストラヴィンスキーっぽいので、まあいっか!とも思えてきています。

 何はともあれ、とても強い意思に裏打ちされた素晴らしい表現に触れることが出来、とても良い刺激になりました。本当にありがとうございました。また何かありましたら、是非お誘い下さい。

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 余談ですが、終了後楽屋口へ行った時、同行したうちの会社のAさんや私の姉が「みんなで写真を撮ろう」と言い出して、私は写真が大大大嫌いなので「私はいいよ」的ことを言って何とか逃げようとしたのに「いいじゃんいいじゃん」みたいな感じで結局一緒に写真におさまってしまって、本当に、死ぬかと思いました(苦笑)。カメラに魂を抜き取られると本気で信じているのに撮られてしまった江戸末期の人のような心境です(苦笑)。

 私が嫌がっている時はほんとに嫌がっている時なので、ほんとに!やめて!頂きたい!!!